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「痛い」跛行と「しびれる」跛行

前回のコラムでも触れましたが、「歩き方がおかしい」と一口に言っても、整形外科学的疾患と神経学的疾患では症状が異なります。私たちヒトでも、捻挫をした場合と正座の後などの足がしびれている場合では、何となく足の運びの違いがわかりますよね。

粗っぽく言えば、整形外科学的疾患は、骨や筋肉、関節、靭帯や腱などが故障するハードの疾患で、神経学的疾患は神経の信号伝達機能に支障をきたすソフトの疾患……でしょうか。歩き方についても、これまた粗っぽく言えば、前者は「痛い痛い」と感じながら一歩一歩顔をしかめる、そんな歩き方、後者は「くすぐったいような痛いような何も感じないような」といった感じで思うように足を運べていない、そんな歩き方……といった感じです。

今回は、後者の神経学的疾患による犬の跛行について解説します。

神経学的疾患

身体を動かすための電気信号は、脳や脊髄といった中枢神経や手足などの末梢神経を瞬時に駆け巡ります。そして、脳や脊髄の指令で手足などの運動器が動くことになるわけです。でも、どこかの働きがおかしくなるとうまく伝わらなくなるんですね。それが「神経学的疾患」です。

獣医さんが行う本格的な神経学的な検査では、打診槌や鉗子などの特殊な器具が使われることが多いのですが、今回は、一般の飼い主が犬の姿勢や歩様などを観察して見つけられるポイントに絞ってご説明します。

動画の観察

Youtubeにアップされた動画をいくつかみてみましょう。

飼い主の呼びかけや手を叩くなどの周囲からの刺激への反応が鈍くなったり、今まで学習していた行動が出来なくなったり、同じ方向にぐるぐる旋回したり、静止時に常に頭が左右どちらかに傾いていたり、といった場合には、脳の疾患が考えられます。下の子は「斜頸」と呼ばれる常時首をかしげる症状が出ていますね。

歩く時の歩幅はどうでしょうか。前肢と後肢、右側と左側で比較してみると、その違いがわかることがあります。

ウォブラー症候群という頸椎(首)の疾患を患った下の動画のシェパードは、「前肢は短い歩幅、後肢は大股の歩行」になり、前肢と後肢の協調性が失われる、というその特徴的な歩様になっています。

また、神経学的疾患でよく見られるのですが、足の甲を地面に擦りながら歩いたり、立たせた時に足の甲を地面につけて戻らない症状を「ナックリング」と言います。通常であれば、こんな時には身体に備わった位置情報を感知するセンサーから「足の向きがおかしい」という情報が送られて、それを受け取った中枢神経から「足の向きを正常な向きに戻しなさい」という信号が、瞬時に筋肉に送られるのですが、この一連の流れのどこかに異常があるのです。この動画では、右の後肢にナックリング症状が出ています。

骨折や関節炎といった痛みがある骨や関節などの疾患も可哀想ですが、思うように身体が動かない神経の疾患もまた、その犬にとって不便で辛い状態なのではないかと思います。この神経学的疾患の中には、本人が痛みを感じないものもあり、そういった場合には犬は足を引きずってでもどんどん歩こうとします。結果、擦り切れて出血したり、患部とは別の部位を痛めることもあるのです。

犬の「おかしい」のサインに早く気が付いてあげられるのは、毎日犬と一緒に過ごしている飼い主さん。まずは、犬の歩様を観察することから始めましょう。いつもの歩き方が分かっているからこそ、「何か」がおかしい歩き方に早く気づくことが出来るのです。

そして、何よりも、少しでも違和感を感じたら、早めに専門の獣医に相談してください。

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