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筋肉が組織として衰える

筋肉が量的あるいは質的に減衰して力が入らなくなる現象を「サルコペニア」と言います。その定義はまだまだ定まっておりませんが、今回は、神経機能の衰えとは関係なく、筋肉そのものが新しく生まれ変わる力あるいは再生する力が衰える、いわゆる栄養学的な筋力の衰えについて説明します。加齢や怪我、疾病、栄養の問題で筋肉量の減少及び筋力の低下が見られる現象です。

最近はイヌも寿命が延び、ヒト同様高齢化時代を迎えることとなりました。歳をとっても生活の質をできるだけ低下させないこと、それが、イヌにとってもヒトにとっても重要になってきています。そのためにもサルコペニアの原因、対策の研究が早急に進む事が望まれるところです。

加齢性サルコペニア

ケガをしてギプスで固定したり、病気で寝ている期間が長かったりすると、筋肉は萎縮します。いわゆる不動化による廃用症候群と呼ばれる症状です。若年者であれば、そのような不活動が改善されれば、筋肉は回復していきます。骨格筋(身体を動かす筋肉)は卓越した修復力を持っているのです。ところが加齢性サルコペニアは違います。筋肉の回復がなかなか進まないのです。これは、不動化による筋萎縮にはみられない「筋繊維の減少」が原因のひとつなのではないか? とみられているようです。

筋再生の鍵「筋サテライト細胞」

筋肉は「筋束」とよばれる細長い細胞の束の集まりで、その束ねられている細長い細胞を「筋繊維」といいます。筋繊維は筋内膜という膜で覆われているのですが、その筋内膜は基底膜と筋形質膜という2つの膜に分かれていて、その2つの膜の間に「筋サテライト(衛星)細胞」がいくつも張り付いています。

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この筋サテライト細胞が筋の再生を担っている細胞なのですが、骨格筋が損傷や過負荷(トレーニング)といった刺激を受けると、増殖因子やサイトカインが放出されることで筋サテライト細胞を活性化、タンパク質がどんどん作られて筋繊維が再生していく、そういう仕組みになっています。

ところが歳をとると、筋サテライト細胞の数そのものが減少及び増殖機能が衰退してしまうようなのです。いや刺激となる増殖因子やサイトカイン分泌の減少が起こるのだという研究者や、筋再生を抑制する細胞外環境があるのでは? といった説を主張する研究者もいますが、いずれにせよ、高齢になると筋繊維のキズを十分にカバーすることができず、筋繊維数が減っていってしまう運命にあることに変わりはありません。

サルコペニアは予防できる?

何となくがっかりする話ばかりで申し訳ありませんが、一筋の光もあります。

昨今、筋サテライト細胞を活性化させる増殖因子とされるインスリン様成長因子(IGF-1)にスポットライトが当たり、その研究が進んでいるのです。IGF-1の研究が進み、ヒトにおけるサルコペニア発症のメカニズム解明されれば、そしてサルコペニアの予防策が見つかれば、イヌへの応用もあっという間でしょう。となると、愛犬が何歳になっても、私たちが何歳になっても、一緒にトレッキングに行ったり、マリンスポーツを楽しんだりすることが夢でなくなるかもしれません。

いつになるかわかりませんが、早く現実のものとなって欲しいですね。

プロフ

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