ウィジードッグクラブ

犬のしつけと訓練

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先回のコラムでも触れましたが、コントロールを喪失するとイヌは多くの(ヒトにとっての)問題行動を引き起こす、裏を返せば、多くの問題行動はコントロールの喪失が原因となっている……私はそう捉えています。

今回は、その問題行動のひとつである「マーキング」という行為も飼い主のコントロールの喪失と関連しているのか、そのことについて、しつけ教室での経験などから書き綴ってみたいと思います。

マーキングって?

image マーキングは、野生動物が、一定の地理的範囲について自身あるいは自群の縄張り(テリトリー)であることを示すための行為と言われています。イヌの祖先であるオオカミは少量の排泄物と肛門嚢から出る液体の臭いでマーキングをするといわれており、イヌのマーキングはこの名残だと考えられてきました。

ちなみに、ネコ科の動物の一部(ヒョウやトラ)が木に爪痕を残すなど、種によってさまざまな形態のマーキング行為が認められているようですが、それらの行為についてはここでは割愛します。

現代のイヌは、(特に散歩中においては)テリトリーという意識は薄れていて、自身の何かしらのアピールあるいは権威の示威がマーキングの理由だろうと考えられているようです。実のところはよくわかっていないのでしょうが……。

いずれにせよ、本来持って生まれた行為=本能に近い行為なのでしょうから、イヌに、ヒトの社会、特に都会で生きてもらうためには、その本能を抑え込み、「やらない」という行動を習得/選択させる必要があるのでしょう。

不妊手術との関係

image オス犬に多いマーキングですが、メス犬でもやることがあります。避妊手術をしていないヒート中(発情中)のメス犬は特にその意識が高まります。中にはオス犬のように足をあげてやる子もいます。

数回の排泄であれば、さほど気にはならないのでしょうが、散歩中にひっきりなしに止まってはマーキングしたり、家の中でそこら中にマーキングしたりされると、飼い主も困り果ててしまいますよね。

そういった行動を発生させないため、性成熟(オス犬の場合は7〜9か月、メス犬の場合は6〜14か月)の前に不妊手術(去勢・避妊)をすすめる獣医も多いようですが、年齢を重ねてからの不妊手術でもそれがピタッと止まる個体もいれば、若くして手術しても変わらない個体もいるようで、完璧な予防手段とはならないようです。

飼い主の問題

ここからは私見です。

「マーキングを助長させるのは飼い主である」

私はそんなケースが多いとみています。

最近は、マナーパッドやイヌ用おむつなど便利な用品が普及し、ドッグカフェや室内ドッグランなどで着用しているのをよく目にします。そして、多くの飼い主は、マナーパッドなどをつけていることで安心し、愛犬がどこそこにマーキングをしても一向に無関心を決め込んでいるようなのです。まぁ、そのためのマナーパッドなのでしょうから、「着けていて良かった〜」くらいにしか思っていないのでしょうが、他人のモノを汚さないとはいえ、マーキングという行為を自由に許してしまっているわけで、まさしく上記の「コントロールの喪失」の瞬間だと思うんですね。

つまり、一貫性が求められるしつけにおいて、「着けていようがいまいが許さない」のと「着けた時は許すけど着けてない時は許さない」では、前者の方が好ましい行動を教えやすいわけで、「やらない」という行動を習得させる、というしつけのためには、その無関心というか許容は、大いに後退することになってしまうわけです。これでは、マーキング行為そのものを助長することとなり、着けてない時には、「そのたびに叱られる」というイヌにとって気の毒な場面が増えることにもなりかねません。

マナーパッドなどを「やってしまう可能性があるときの予防策」として活用することに異を唱えるつもりは毛頭ありません。でも、飼い主が、自身のイヌの行動を常に観察し、そのマーキング衝動を減らしてやれるよう管理に努めることが、イヌたちにとっての幸せにつながるのではないかと思うのです。

プロフ

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