ウィジードッグクラブ

犬のしつけと訓練

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意味の異なる似た言葉

人の子どもを育てる時、「『しつけ』と『教育』は違うよ」という言葉をよく耳にします。「しつけ」とは、社会生活に適応するための望ましい態度や習慣を子どもに身につけさせること、「教育」とは、勉強やスポーツなどを学ばせながら、常識人としての人格や問題への対応力を身につけさせること……ってこんな感じです。似たような語句でも微妙に意味は異なるんですね。

私は、犬の「しつけ」とは犬の問題行動を取り除くこと、「訓練」とは犬に飼い主が求める行動を犬に選択させること、と定義しています。しつけのためにはヒトの簡単な指示には従わせる訓練も必要ですし、特定の作為あるいは不作為を誘発するのが目的の訓練においても、そのベースにはしつけが必要です。重なる部分が大いにありますが、同じ意味とは捉えていないのです。

訓練でしつける

問題行動を起こす犬たちは、不安や恐怖、異常な興奮などココロの問題を抱えているケースが多く、その意味では訓練よりもココロにアプローチするしつけが必要です。ただ、私たちはしつけのツールとして訓練を利用することがあります。ゴールは「しつけの完成」なのですが、プロセスでは訓練を使うのです。少し矛盾したような言い回しですが、今回はそこを説明致します。

訓練

ここで言う家庭犬の訓練は、高等技術を必要とする特殊な訓練ではありません。

こんなことをやらせたいのであれば、高等技術を使った特殊な訓練も必要になるでしょう。しかし、多くの家庭犬にとってはあまり必要のないことですよね。

しつけ教室に来る問題行動犬の飼い主さんの多くは、こういったことをやるための訓練を希望しているわけではありません。しつけで問題行動を改善して欲しいだけなのです。なのに、なぜしつけに訓練を利用するのか、というと、訓練のプロセスにあるエッセンスがしつけにも有効だと考えているからなんです。

例えば、声符(ヒトの声による指示)であれ視符(ヒトの手やカラダの動きによる指示)であれ、犬が今まで聞いたこともなければ見たこともない指示を受けた時、犬たちは犬なりにいろいろ考えます。そして、その指示に対して自分が選択した行動をほめられると、犬はヒトの指示に従って行動することが楽しくなり、心地よさとともに自信を持ってその指示に従うようになるのです。ヒトの指示に従わせるためのこういった訓練を犬たちに施しているうちに、犬たちは自発的に「好ましい行動」をとるようになり、それが不安の克服につながっていく……そういう姿を、私たちは何度も見てきました。自信が不安や恐怖の克服の大きな手助けになることは間違いないと思うのです。

ドッグダンス

私たちは、「しつけのための訓練」のひとつとしてドッグダンスを勧めています。ヒトの指示に対して犬に適切な行動を選択させ、それを褒めることでヒトの指示に従う態度を学ばせる……それを効果的にできるのがドッグダンスだと思います。「マテ」や「オイデ」、「ヒール」など、私たちが「ベーシック・トレーニング」と呼んでいる基本訓練だけでも十分な「しつけのための訓練」にはなるのですが、さらに難しい課題を与えられてそれをやり切る爽快感が感じられると、犬たちは次第にヒトの気持ちを忖度することさえできるようになるのです。

問題行動の改善

犬との豊かなくらしを実現するためには、犬の「ココロへのアプローチ」と「行動へのアプローチ」を意識しながら上手につきあっていくことが大切だと考えています。たとえ問題行動のある愛犬でも、角を矯めて牛を殺すような無理強いをしたり、ヒトの無思慮な怒りの感情をぶつけたりするのではなく、必要に応じて「しつけ」と「訓練」を組み合わせながら、時間をかけて愛犬の行動を変容させることを目指すべきだと考えています。

それは誰にでもできることです。

プロフ

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