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変性性脊髄症

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犬の変性性脊髄症(DM)とヒトの筋委縮性側索硬化症(ALS)

ここのDMコラムで何度か出てきていますが、犬の変性性脊髄症(DM)で変異が見つかったタンパク質(SOD1)は、ヒトの筋委縮性側索硬化症(ALS)でも見つかっていることから、世界中の研究所で、原因や発症の機序、治療法などを互いに情報共有しながら研究を進めているようです。ただ、ALSの進行パターンは様々であるのに比べ、DMはどんな犬種でもほぼ同じくらいの速度で同じパターンで進行するなど、臨床上の違いも多く見られます。

今回は、ALSとDMの違いを調べてみました。

発症のメカニズム

ALSは大脳の第一次(上位)運動ニューロンと脳幹、脊髄の第二次(下位)運動ニューロンの障害から始まるもので、手や足の筋力低下から始まるタイプと舌やのどの筋力低下から始まるタイプがあります。DMは胸から腰に掛けての中躯の脊髄白質の不全から始まり、次第に首の方に進行していきます。最後は首の脊髄(頸髄)に至って呼吸困難に陥ります。

また、ALSはその9割が孤発性、つまり遺伝子とは関係なく発症するものと考えられていますが、DMは逆に9割以上が家族性、引き継いだ遺伝子の異常だと考えられています。

症状の違い

ALSが感覚神経の異常を覚えない反面、DMは肢先の感覚(固有受容感覚)を失いますし、ALSが痛みを伴うのに対し、DMはおそらく痛みを伴っていないと思われる点も大きく異なります。また、ALSが認知症を併発するリスクが高いのに対し、DMについてはそのような報告はなされていません。

ALSは遺伝と関係なく環境が原因?

先ほど、ALSは孤発性であるケースが多いと述べましたが、「BRAIN and NERVE−神経研究の進歩 59巻10号 (2007年10月)」に興味深い話が出ています。

かつて、グアムではALSとパーキンソン病の患者が多発する時期があり、それがわずか50年程度で収まったというものです。さらに、日本の紀伊半島とグアム、ニューギニアといった、東経140度に位置して土壌が似ている地域でALSが多発していたことから、その原因について環境要因に目が向けられ、植物などの神経毒やミネラルバランスなどが疑われるようになりました。

その一方で、犬のDMは、ある程度コーギー、シェパード、ボクサーといった犬種に絞られていることや血縁の相関性が高いこと、特殊な環境が特定されていないことから、家族性(遺伝性)が高いと認識されています。

ALSもDMも、原因がわからずに発症し、次第にカラダが言うことを聞かなくなる、現時点では治療法のない病気です。

ほんとにやるせないです。

プロフ

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